登山・トレッキングの服装|基本がわかってないんじゃない!?

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山ガールや登山ブームでファッション性が先行していますが、実際の山登りの服装に対する基本って知ってますか?
初心者など登山知識や経験がない方は、登山の服装、ウェアをどのようなものにすればよいのか分からないと思います。
山岳ガイドという職業上、多くの時間を山にいますからあたりまえの服装ですが、まったく分からないという方のために、すこし紹介していきたいと思います!


山登りの服装の考え方|正しい登山の服装

登山の服装といっても今やファッショナブルになってスタイルがたくさん出てきました。
さらに時期や登る山、ハイキングやトレッキング、それによってスタイルは様々です。
ただひとつ共通するベース的考え方ができると思います。
登山の服装は
何を着るかではなく、どういう組み合わせで着るか、ということが大事です。
つまり、重ね着が基本ってことですね。
山は寒いから分厚いセーターやジャケット、
山は暑いからランニングに短パン、
とはならないのです。
また、基本的な登山の服装からは、コットン(綿素材)は除外してください。
コットンは肌触りがよく、気持ちよいですが、山の服装の素材としてはNGです。

 

基本の服装は3レイヤー!?

登山の服装。重ね着のファッション&オシャレ

これはずっと変わらない登山の基本ですが、
3枚着るよ!ということでなないですよ♪
重ね着のことですね。
なるべく重ね着をすることで、体温コントロールをしやすくするのです。

T肌着(アンダー)
U中間着(ミッド)
V外着(アウター)

 

つまり、
アンダーで汗を出し
中間着で保温し、
アウターで雨風を凌ぐ
こういうパターンです。

 

スタイルの中にも、きちんとした吸収・拡散・冷涼・保温・防風・通気、というシステムがあってこその着こなしです。
この黄金パターンともいえる3レイヤー(重ね着)と「吸収・拡散・冷涼・保温・防風・通気」が機能していれば、あとはどんなスタイルの組み合わせをしてで山に出かけても自由、なのですが、組み合わせはけっこう大事です。

 

といっても難しく考える必要はありません♪

レイヤリングパターン

ピンと来ない方のために、
服装の例を出します

真夏の2000〜3000mの山

半そでの冷涼肌着(@アンダー)
薄手の長袖ボタンシャツ(Aミッド)
【リュックの中に雨具(Bアウター)と薄手のフリース(Aミッド予備)】
+薄手グローブと帽子必携
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春の尾瀬ヶ原

長袖の速乾保温系シャツ(@アンダー)
長袖の薄手のフリース(Aミッド)
【リュックの中に雨具(Bアウター)とインナーダウン(Aミッド予備)】
+手袋や帽子必携
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秋の八甲田山紅葉登山

長袖のフィットシャツ(@アンダー)
ウールのジップネック(Aミッド)
薄手のソフトシェルジャケット(Bアウター)
【リュックの中にインナーダウン(Aミッド)】
+保温性のあるグローブや帽子は必携
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下半身に関しても基本同じです。
タイツ・ズボン・雨具
の3レイヤー構造です。
状況に応じてタイツを履くかどうかを選びます。
※膝が弱くて暑い場合はサポーターのみのものがよいでしょう。

失敗登山ウェアの買い方のポイント!|デザインとカラーバランス

失敗しがちなのは、ひとつひとつバラバラに揃えていくこと。
もちろん、一気に揃えることができない場合もあるとは思いますが、そんな時でも持っているウェアとの相性や使い方・レイヤリングを考えて買ってください
カラーバランスもミスマッチになりがちですので、好みのベースなども考慮しましょう。

T登山の服装で最も重要なアンダーウェア

初心者はとかくないがしろにしがちな肌着

外見ばかり気にして、一番大事な肌着が後回しになってませんか?
コットン製品は汗で濡れてもすぐに乾かないどころか体温を奪うのでキケンです。
肌着は吸湿速乾性(汗を吸い出す)が高いのが大前提です。
その上にいくつか特徴があります
素材で分けると、保温するものと、体温コントロール(冷涼)するものとあります。
安全面・快適性を両立させるためにアンダーウェアに気をつかいましょう

 

メッシュ系スキン系アンダー

最近は、メッシュ素材で肌にピッチリとフィットするアンダーウェアが登場しています。このメッシュ系の特徴は、汗をとにかく吸出すという役割があり、それに加え、体温コントロールや保温性があります。アンダーウェアの下のアンダーウェアという位置づけです。従来なかったものですが、着用するとかなり快適でユーザーは爆発的に増えています。その主たるウェアがファイントラック社のフラッドラッシュスキンメッシュでしょう。

ファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュ

 

化繊系アンダーウェア

化繊のアンダーはとかく吸湿性の速乾性が高いのが特徴です。
このときに暖かく感じるのか、体温が上がるのを防ぐのかで夏用と冬用に分かれます。
これに加え、最近では消臭・防臭効果や、紫外線カット(SPF)などが各メーカーで特徴があります。

パタゴニア キャプリーン

 

ウール・化繊混紡系アンダーウェア

ウール素材は昔から非常に保温性に優れていました。
ただこれだけでは吸水性がでないため、肌着としては、やはり化繊と混紡したものが主になります。
当然、保温効果を期待していますので、どちらかというと寒い時期に適しています
ウール独特のチクチクする毛羽立ちも現在の繊維技術で改良されていて、肌触りも風合いも最適です。
ただ、ウール系の弱点としては、やはり汗を大量にかくと吸湿速乾が間に合わないという点です。
夏場や激しい運動時は難があります。

モンベル ジオライン

 

コンプレッション系アンダーウェア

別の視点からみると、肌着にコンプレッション(着圧)効果を持たせたウェアも目立ちます。
そもそもが飛行機のエコノミー症候群の解消のために開発されたものがアウトドアやスポーツ用になっています。
これは体に適度な圧力をかけることで血流を促進して回復させるという効果があります。使えばなんとなく疲れ方が違うのがわかります。
すでに夏用冬用と様々なメーカーから数多く出回っています

スキンズ ロングスリ-ブトツプ

 

サポート系アンダーウェア

いわゆるサポートタイツと呼ばれています。
コンプレッション系よりも密着感が強く、ウェアにサポーターのようなラインがあります。
下半身のタイツなどに多く、膝や腰まわりをテーピングのような効果をだして負担を軽減してくれます。
ただし、高所などでは人によって逆効果もあります。
さらにリラックスできないため就寝時は使用できません

C3フィット パフォーマンスロングタイツ

U登山の服装の良し悪しを決めるミッドレイヤー

ミッドレイヤー、中間着です。
ミッドレイヤーは暖かければ何でも良いかというと、そうではありません。
サンドイッチの中身はけっこう好みが分かれますよね。
つまりチョイスが重要ですし、アンダーとアウターの着合わせを常に考えて選んだほうがよいのです。
ちなみに、ミッドは2枚でも3枚でもOK。3レイヤーというのはたんなる分類の話です。

ポリエステルシャツ系ミッドウェア

従来型のシャツですが、素材は速乾性のあるポリエステル系です。
肌着の上から着ます。
ストレッチ性が少ないですが、どんな衣服にも対応できます。

モンベル WIC.ライト シングルポケット ロングスリーブシャツ

 

フリース系ミッドウェア

ポーラテック社の素材を主としたポリエステルのフリースが多勢です。
ドライ系、ストレッチ系、保温系、防風系など様々です。
通常肌着の上に着るものとして、ポリエステルフリースは最適です。
とくに裏地がブロックパターンやメッシュになっているものはアンダーからの汗をうまく外に逃がしてくれます。
また、毛並みがフサフサしたようなフリースは保温性に優れています。
軽いのですが、風に弱いというのが弱点です。
そのため、フリースジャケットにはウインドブロックという防風素材を張り合わせたものがあります。

モンベル クリマプラス100 プルオーバー

 

ダウン系ミッドウェア

いわゆるインナーダウンと呼ばれている軽くて薄いダウンジャケットからアウター的に着るジャケットまで様々です。
ミッドレイヤーとしてのダウンの場合は、行動中というよりは、予備的に持ち歩くことも多いです。
というのも、ダウン自体が保温効果があり汗を逃がしにくいために、行動中は強風寒冷時などに限定されます。
そういうい意味ではインナーダウンというコンパクトで軽いものや、袖なしのベストを使う人も多いと思います。

mont-bell EXライト ダウンJK

 

化繊インサレーション系ミッドウェア

化繊(中綿)が入ったナイロンシェルのことです。アウターにも使用します。
必然的にダウン同様耐風性があります。
肌着から直接着ることは少なく、フリースやポリエステルシャツの上から羽織る感じです。
なので、アウターといってしまえばそうなりますが、最終的は外側(レインなど)ではない位置付けです。
中綿の量などによりインナー的に着るのかアウター的に着るのか分かれるところです。

パタゴニア ナノパフベスト

V風雨から身を守る最終手段のアウター

登山の服装で最も気になるところだと思います。
雨という条件がありますので、夏山では雨具がアウターの一番外側となります
(雪山の場合はオーバージャケット)

 

ハードシェルジャケット

雨具やオーバージャケットには、ゴアテックスなどの防水素材がラミネートされていますが、このような完全防水ウェアをハードシェルと呼びます。
通常夏山ですと、レインジャケット&パンツを持っていますので、これがアウターです。
それとは別にハードシェルを用意する必要はありませんが、ウインドブレーカーなどの防風アイテムも有です。
晴天時でも着られるためには、ハードシェルではなくソフトシェルもおすすめです。

 

ソフトシェルジャケット

ハードシェルに対して、防水性は低いけど、アウターとして防風・耐風性、撥水性などに優れ、通気性・動きやすさを重視しているのがソフトシェルです。裏側が透けてみえるほどの薄いナイロンシェルから、フリース生地が張り合わされた分厚いジャケットまで様々です
ソフトシェルに共通する条件は「快適」です

 

ダウンジャケット

これをメインにする条件はそうとうな極寒の地や冬季に限られます。
一般的な登山では基本的にダウンジャケットの選択はないですが、冬季の北海道ツアーや海外のトレッキングなどには使えるかもしれません。あるいはクライミングなどアウトドア全般に活躍します。

 

化繊インサレーション系

基本的に冬季用ですが、化繊インサレーションはソフトシェルやハードシェルのナイロンシェルに保温性の高い中綿をインサレートしたタイプです。
ダウンジャケットとの違いは、ある程度の通気性や濡れ手も保温性が落ちないなど特徴があります。
ダウンジャケットはご承知の通りの高保温力です。

 

 

以上、登山の服装について、レイヤリングの説明をしてみました。
今回は初心者むけの山登りの服装でしたが、今後、WEB登山教室のジャンルも増やして行きたいと思います!

 

ハードシェルについての記事

ハードシェルジャケットの特徴・選び方アレコレ

ソフトシェルについての記事

ソフトシェルジャケット選びとおすすめ