間違いだらけの雪山入門者|初心者あるある!?

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最近は山の経験も浅いのに、雪山を始める方も増えています。
いきなり厳冬の八ヶ岳・赤岳なんかに登るかたも多いことでしょう。でも、登る前に、技術や全体的なことを身に着けておくことのほうがよっぽど大切だとは思いませんか?
ガイドツアーでは、山に登る前に、富士山の講習会に来てもらうほうがすごくあとあと役に立つことをつけたしておきます。
今回、ちょっと辛口ですが、情報だけが先歩きして、陥ってしまいがちな点を確認してもらえればと思います。


リスクがわかっていない平和な日本人の雪山事情

まず雪山を始めるのにわかってもらいたいことは、日常生活の便利スイッチをオフにして挑まなくてはならないということでしょうか。
日ごろのストレス発散の雪山であってもかまいませんが、趣味娯楽とおもっていたら、アウトです!
何度も登っていれば、いつかは、だいたい事故・遭難・トラブルには、遭遇します。長年やっていれば、経験してない人のほうが少ないかもしれません。
それくらいの危険度の高い遊びであるということ。
それくらいの経験は甘んじて受け入れなければならないのです。
うまく自分だけは大丈夫、とか思っていたら、きっと当たりますよ。

 

雪山装備は20万円以上かける覚悟もない諸君

登山道具をもっていたとしても、雪山に行くためには、さらに最低20万円くらいの追加装備が必要です。
そこまでしてかけたくない、かけられないという方は、覚悟が無い方ですので、やめておいたほうがいいでしょう。
まったくそういうことを知らないでツアーに申し込んでくる方も最近はいらっしゃいます。

 

いやね、そこまでリスクのある雪山には登らないよ、という甘さ

そこまで危険な山には登らないでおこう、、、、とか思っていたら、軽アイゼンとストックの装備以上にはしないほうがいいでしょう。そういう山に登ってください。
中途半端な装備と心構えは、いつかは切り替えなければならなくなる可能性があります。
だいたい、そこまで危険、というそこがわかっているのか、危険とは何なのか、それすらもわからないはずなんですが・・・
ニュースに出る雪山の遭難は、必ずしもグレードの高い雪山とは限りません

 

厳冬期用登山靴を買わずに4シーズン登山靴を買ってしまう

上記の理由もあって、4シーズンシューズで雪山を済まそうとしている人が後を絶ちません。
安全な北八ヶ岳ですら冬は-20℃くらいになることもあります。
これは勝手な予想ですが、4シーズンを買ってしまう人は、厳しい山は寒い山、易しい山はそれほど寒くない山、と思い込んでいるのではないでしょうか?
誰が、バリエーションや岩の山が寒くて、体力さえあれば簡単に登頂できる山は寒くないと定義しているのでしょうか。妄想ですね。
12月〜3月も山に登るなら、最初から4シーズン靴を買わないことです。
もちろん寒さに強い方もいらっしゃいますが、ガイドの立場としたら、同伴者の装備が甘いというのは、早めの撤退の理由にしかならないのですね。
で、4シーズンを買っておいて、寒さの心配をしているわけですね(笑)

バラクラバでサングラスやゴーグルが曇る

これは、確かに難しい問題です。誰しも経験することです。息や汗でゴーグルやバラクラバが曇って、まったく見えなくなり、歩けなくなるというケースはよくありえます。
けっきょくつけてられなくて、顔丸出しで吹雪の中を歩いて、下山すると顔がはれて黒ずんだり皮がむけたり…
どうしたらいいのでしょうか?
まず、バラクラバについてですが、チョイスはアルパイン用(厚手のスキー用とかでなく)であり、息が外に通過しやすい構造・素材のものであったほうがいいです
そして、ゴーグルであれば2重になっている曇りにくいものがおすすめです。
それから、曇る原因ですが、内側が曇る、あるいは凍ってしまうのは顔の汗です。外側が曇るのは自分の息です。
内側が曇る場合は、そもそも、大汗をかくような消耗する歩き方をしているというのがポイントにあります。
さらには、ゴーグルを風も無いような登りのときからつけていると、それは曇ってきます。ゴーグルはどうしても風が強い時や下山などで使うのがいいでしょう。
バラクラバで息が外に通過しにくいと、目元の隙間から湯気が上がってきます。なので、外側が曇る対策は、そいういうアイテムを選ぶこと。そして、呼吸を、ハァハァしながら歩かずに、ふぅふぅしながら歩くといいと思います(笑) それには、余力のある歩き方、力を抜いた、疲れない歩行技術が必要だと言えます。
何度も雪山を歩いて経験しましょう。

関連記事 雪山でゴーグル・サングラスが曇る!傾向と対策

 

ゴム手袋のグローブで雪山にきてしまう


これも最近ネットで流行しているのか、内側がボアになったゴム手袋を購入してくる方がいらっしゃいます。
※確かにこれは、アマゾンでも人気NO1商品なだけあって、自宅の作業用とかには使えそうで欲しいです(笑)←使ってますが確かにいい!
雪山で使える理由が、@操作がしやすい、A濡れない、Bあたたかい、だそうです。
ツアー参加者にも見受けられまして、一応、ちゃんとしたオーバーグローブも持ってこられていましたが、そうでなければ、ガイドとしては、下山してもらうしかないでしょう。
まず、だれか経験者がネットで書いているのだとおもいますが、初心者の方はマネしてはいけません。
その理由ですが、
@オーバーグローブでのアイゼン装着・ジッパー操作などがそもそもできない時点でアウトです。それを練習して経験することが雪山のステップアップでしょ?安易・便利に取りつくと、雪山本来の自然の厳しさに身を置くことになりません。挑む前から甘々な考えは捨てましょう。
Aおそらく、春山ならなんとかなるときもあります。ただ、そのゴム手でラッセルできないでしょう。袖が絞れませんので、濡れてきます。風も侵入します。そもそもオーバーグローブも防水であれば問題なしです。
Bなんの根拠で温かいといっているのでしょうか?町の現場作業用ですから、-20で、風速20m(体感-40℃)の状況とか、想像もつかないのだと思います。
安価なのはわかりますが、それを初級者が真似をするのはNGですね。

 

丁寧で準備が遅いもたつくのは雪山登山者べからず

多いです。きれいに袋にいれて、しっかり荷物整理。
荷物なんか適当に放り込んでさっさとしろぉ!!! っては言わないですけどね^^;
雪山では出発や行動中、とにかく寒いので、止まっている時間を作らないようにするというのがポイントです。
その感覚というのは、夏山ではあまりないので、意識を切り替える必要があります。
ザックのパッキングやスパッツの装着、アイゼンの装着、身支度、休憩、なんでも自分でテキパキとする必要があります。
慣れない人をみていると、生活習慣を感じます。そこの枠から抜けていないことに気付きましょう。
もちろん性格上、あるいは年齢によりもたついてしまうこともあるでしょう。自覚も必要です。それが出来ない場合は、危険度の低いレベルに応じた山に行くべきだと思います。
厳しい山にもたもたは命取りです。

 

アイゼンをつけても滑りそうな不安がある歩き方

歩き方の進歩がままならない、という人は、とかく、雪・氷は滑るという観念があります。
いつまでも滑りそうな思いがあるのでしょうか。
これじゃあ、うまくなりません。
滑るか、滑らないか、をはっきりさせるまで、練習するのです。
滑るかどうかわからない・不安→歩けない、わけです。
滑ったってどうってことない場所で、何十回でも滑ればいいんです。
滑らないという感触を身につけましょう。

 

歩けもしないのに滑落停止・・・だと!?

これは先の記事にも書きましたが、とにかく滑落停止をしてみたくなるという心理があるようです。
ちょっとでもやって、すっきりしたいようですね(笑)
講習会でもやりますけどね(やらないと満足しないですし)
やってみたい滑落停止|雪山講習の目的はそれじゃない