登山をするにあたって、計画をたてることは、登山の楽しみのひとつでもあります。そして、登山計画を立てることによって登山全般の技術というのも上がるはずです。さらにたてた計画の登山届けを出すことによって、安全性もあがります。
まずは楽しく計画を立てる。このことが大事だと思います。
登山計画の前に、まず、目標や時期をきめなければなりません。
登山をはじめた初期のころは、登山をする日を決めてから、その日に歩ける自分にあった山をみつける、というパターンが多いかもしれません。
しかし、山が楽しくなってくると、もっと長期的に考えるようになります。
毎月(あるいは毎週?)の登山計画をきめて、歩きたい山の時期やコースを選んでいくようになるかもしれません。
まずは思い切って気になる地図(山と高原地図)やガイドブックを買ってみましょう。
だんだん自分が歩けそうな、歩きたい山がみつかるはずです。
そしたら、その山へ向かうための登山計画を立てます。
まずは登山をするメンバーを決めます。
1人なのか、二人なのか、あるいはグループ登山なのか。
人数が多いほど、何かあったときの不安は少なくなりますが、フットワークは鈍ります。コースタイムどおりのスピードとはいかないかもしれません。
また、体力や技術、装備が全員合わせられるのか?そうでなければ、最小限の人に合わせる必要もあるでしょう。
登山口までのアクセス方法を決めます。
どのくらいの時間がかかるのか?マイカーなら駐車場の有無。交通機関なら時刻や最終便も気になります。
山の公共交通機関はそれほど多くありませんので、しっかりと確認しておいたほうがいいでしょう。
万一にそなえてタクシー会社などの連絡先も控えて起きます。
実際に地図などでコースタイムが書いてありますが、それだけを参考にしてはいけません。
コースタイムには休憩時間などは含まれていませんので、それを考慮します。
たとえば40分に10分か5分の休憩、あるいは50分で10分休憩、昼食に1時間、というふうに、コースタイムと休憩時間を合わせて、行動時間をきめます。
また、コースの取り方は重要です。登りが急だったり、下りがひどく危ない場所だったり、コースの取り方一つで体力も安全も随分かわってくるものです。
どういうコースをたどれば、一番理想とする登山を楽しめるかをみきわめましょう。
急なルートを登りに使えばきついのですが、それを下りに使うと、転倒する可能性は大きくなるかもしれません。
事故は下山時が多いのです。
標高差はひとつの体力度の目安になります。
300mくらいの標高差であれば初心者向けですし、500m〜700mあたりであれば、まったく登山がはじめてだときついかもしれません。
1000mを超える標高差であれば、歩くメンバーを厳選する必要もあるでしょう。また、尾根にアップダウンがあれば、延べ標高差というのが正しい標高差になります。
このように、標高差はひとつの目安になりますが、これだけをあてにしてはダメです。
当然登山道には、歩きやすい道、岩だらけの道、木の根が多い道、クサリ場が連続する道など様々。さらに、天候によっても歩きやすさが変わり、いっきにコースタイムは変化します。当然、歩く人も、岩場になると極端にスビードが落ちる人などいたりします。
登山道の難易度はしっかり確認しましょう。短い岩場でも危険度が高いこともあります。また、気にしてほしいのは、樹林帯なのか、吹きさらしの稜線なのか、つまり森林限界を超える場所を歩く場合です。登山で警戒したい最たるものは風です。天候に大きく左右されますが、ルートがどのような地形の場所を通るかなども、とくに初めて行く山については確認しておきましょう。
基本的に山は早出早着です。最近は、登山者が増えていますが、下山していると、昼過ぎなのにまだ登り始めの登山者などにすれ違います。この時間だと、下山は日が暮れるのは間違いないのに、と思ってしまいます。そして、やはり16:00以降に山小屋に到着したり、下山が日暮れギリギリか日暮れ後ということも多々あるようです。山は天候が午後には急変することもありますし、もし何かあった場合予備の時間ということも考慮して、早めの行動をこころがけましょう。
意外に重要です。登山口にトイレがあるのかどうか、また、途中にトイレや山小屋があるのかどうかなど。とくに女性のメンバーがいる場合はしっかり把握しておきましょう。
途中に補給できるような水場があれば、それもチェックしておきます。ただし、1日分無補給であるけるなら、水場にたよらなくてもよいほどの水分をもっていきましょう。万一水場が涸れているというような事態もなくはないのです。とくに、秋口は、水が涸れる水場は多いと思います。
長い縦走などを計画した場合、もし何かあったときに、途中から下山できるようなコースをあらかじめ確認しておきます。そのコースが危険でないことは必須ですが、途中でトラブルがあった場合の選択肢が増えます。
山の食事はシンプルが良いです。
初心者の頃は、とにかく山をレジャーと思い込んで、あれやこれやと下界と同じグレードのお弁当や食料を持ってくるものです。
まぁ、それをNOとは言いませんが、もし山に感謝する心が芽生えてくると、つつましやかに食べ物をいただく、という気持ちになります。
お弁当もおいしいですね♪
それは別として、山ではエネルギーを補給するという意味合いが大きくなり、お弁当、ではなく行動食としてとらえていくことが山のエキスパートになる道でもあります。
つまり、休憩時でも食べられるような火を必要としないたべもの、そしてエネルギーにすぐなるような糖分系のもの、軽量なもの、などです。
いづれ山の食料のページを作成しますのでここでは割愛します。
登山計画書というのは、何か決まったフォームがあるわけではありません。
内容が分かればよいのです。
1日目:・・・
2日目:・・・
(住所、氏名、年齢、所持携帯電話、緊急連絡先、保険の有無など)
(予備食・行動食など)
(最寄の病院、警察、消防、山小屋など)
登山届けは、人気のある山などは、たいてい登山口や登山基地となる場所に届け出所があったりします。
しかし、本来、登山届けの効果を最大限に活かすには、山の入り口の登山届けでは、不安要素が大きいのです。
基本的に、登山するメンバーの家族や自宅待機の仲間などに登山計画書を出しておくことが必須です。
なぜかわかりますか?
遭難したかどうかを判断するのは、身内だからです。
彼らの遭難届けがだされて初めて捜索が始まるわけです。
登山計画書を家族やグループの代表者に提出しておくことは、彼らの意識も注意をはらってくれるということになります。
また、計画書が無かった場合は、家族や仲間にどこの山に向かったのか分からない、という遭難の場合、かなり捜索が難航するのです。
まず向かった山がどこなのか?それがわからないと、どこに捜索願いをだしていいのかわかりません。
もし、登山口の届けに名前が書いてある場合ならわかりますが、コースが分からない場合は、捜索範囲が絞りこめずに、また難航します。
当然捜査は警察に依頼しますが、届けはかならず警察署でなければならないというわけではありません。
それよりも明確な計画書があれば、捜索依頼のときに警察に伝えればよいわけです。もちろん、あらかじめ警察署に出しておくほうがベターですよ。
しかし、毎週のように登山に出かける人などは、毎回登山届けを提出するのは面倒な作業でもあります。
管轄の警察署をしらべてメールやFAXをするというのはひと作業です。
そこで、ものすごく簡単なやり方をご紹介したいと思います。
山と自然ネットワークコンパスは日本山岳ガイド協会が作成している、登山計画と登山届けを簡単に作成、提出できる超便利サイトです。
私も登山届けを毎回使っていますが、自動的に登録した家族や、タイアップしている警察署に同時にメールが配信されます。
つまり、家族や自宅待機メンバーと警察とに同じ計画情報が共有されるというシステムです。
しかも、下山予定時刻を過ぎた時点で、数時間おきに下山の確認メールが本人に届きます。
また予定時刻の7時間を超過すると、家族や待機メンバー宛に、下山届けがなされていない旨のメール連絡がはいります。
このように、自動で登山届けの管理ができるわけです。
エリアは日本全国の最たる山をほぼカバーし、地形図をベースにした情報で小屋や水場、危険箇所などの表記もあります。
バリエーションなどの登山道以外のルートにも対応できます。
現在ベータ版として試験運行中ですが、スマートフォン用のアプリもあり、そこから登山計画や届け、さらにGPS機能をつかった現在地の確認などの機能が使えるようになっています。地図はエリアごとにダウンロード式となっているために、いったんWIFI環境でダウンロードしておけば、電波が通じなくても地図を使うことができるという優れものです。
詳しい使い方は、コンパスWEBページにて!