冬山は怖い!?|雪山登山の基礎知識を学ぶ

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雪山・冬山は危険というイメージがあります。
それは本当です。
逆に言えば、危険だからこそ、行くのです。
真っ白な厳しい自然の中に身を委ねたときに、そこから得られる感動という体験は、ある意味夏山を凌駕してしまいます。
だからこそ、雪山の魅力にはまった人は「雪山こそ本物」と言えるのです。


雪山のことを知ろう|初心者のための雪山講座

雪山のメリットデメリット

雪山は一長一短。
まずはそのことを理解しておきましょう。

雪山のメリット

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景色が美しい(銀世界)
人が少なくて静かな登山が楽しめる
下りが楽に下れる。早い。膝の負担が少ない
厳しい自然を味わえる感動

 

雪山のデメリット
雪山を登るのは夏山以上に体力が必要
とにかく寒い世界
雪崩や風雪などの気象リスク
装備が増えて重くなる

 

雪山におけるリスクとは?

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夏山以上に気を配る必要がある冬山・雪山。そのリスクを考えて見ます。

雪山に起こりうる危険の要素
気温/寒さ・低体温や凍傷によるリスク
積雪/ルート判断や歩行が困難になるだけでなく、雪崩の危険性もある
地形/雪崩や滑落といった可能性
強風/寒さ・低体温、滑落、雪崩などのリスクの要因となる

 

時期による分類

雪山といっても、時期によって様々です。
風や降雪などの気候が違うだけで随分と変わってしまいます。
どの時期に登るのが妥当なのかを知ることは雪山の大前提ともいえるでしょう。

 

積雪期/11月〜3月4月

雪が積もる時期というのはだいたい年末近くから、3月もしくは4月頃くらいまででしょう。この時期は雪崩や気候のリスクが高い時期で、特に厳冬期となる12月下旬〜2月くらいまでは登れる山は低山がメインとなってきます。
そして2000m〜3000m級の山ではそれなりの装備と技術が必要となります。
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初冬期/11月〜12月

この時期は雪がまだ降ったばかりで雪が締まってなくて、アイゼンが効きにくく苦戦を強いられることもあります。降雪の有無などにより難しい時期です。

厳冬期/12月下旬〜2月

この時期が気象的にも最も厳しい時期。

春期/3月〜4月

しだいに春に移行していく時期で、気象もやや緩んでくる。

 

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残雪期/4月下旬〜5月

いわゆる春山といい、雪山の中でも雪崩のリスクの少ない楽しい時期。気温も0度以上に上がり、GWには営業を開始する山小屋も多く、高い山を狙える。

 

※これらの区分は明瞭ではなく、年や時期・地域によって著しく変化するため、それを考慮して判断するべきです。
例えば春山でも、GW前後には必ずといっていいほど、嵐(メイストーム)が着たりします。

 

山の高さによる違い

標高というのも一つの指標になります。どの程度の標高なのか、あるいは長い稜線の標高や地形を把握しておくことは、リスク回避につながります。

1000級の山

いわゆる低山です。気象リスクはすくなく、積雪の少ない地域では凍った道となっていることもあるが、ピッケルが必要なことも少ない。
入門の入門といえる。
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2000m級の山

地域にもよるが、森林帯と森林限界が存在する場合がほとんど。樹林帯エリアは低山であるが、森林限界をこえるとリスクは一気に上がる。
ピッケル・アイゼンは必携となり、エリアによっては厳しい気象状況もあるので侮れない。
アイゼン&ピッケルの訓練はまずは2000m級のエリアで行いたい。

 

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3000級の山

山岳エリアでの行動がメインとなってくる。長い時間を稜線や山岳地で行動するため、それなりの技術と経験が必要になってくる。
雪崩のリスクや気象リスクと常に隣り合わせになることを意識したい。

 

エリア・地形による違い

日本の場合大きく分ければ、日本海側なのか、太平洋側なのかで大きく変わってきます。
とくに冬山ともなれば、日本海側は積雪が多く、気象条件も厳しくなります。同じ標高でもずいぶんと変わってきます。
また、斜面が北斜面なのか南斜面なのか、稜線の東側を歩くのか、西側を歩くのかという地形的リスクなどにも注意します。
当然、南面は暖かく、北面は凍っている可能性があり、冬側気圧配置の気候では、西側から風は強くなります。

 

装備の違い

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スノーハイキング・スノーシュー装備

ダブルストックに簡易アイゼン(6本爪軽アイゼン)あるいはスノーシューのお手軽装備。
低山のメイン装備となる。
ウェアはレインジャケットを代用したり、ちょっと厚め(革製)のトレッキングシューズでも可能で、装備の負担も少なくて済むので、万人の登山者に楽しめるスタイル。
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本格雪山装備

縦走や登頂がメインとなる12本爪アイゼン・ワカンとピッケル装備。
それに、オーバージャケット&パンツや雪山用の重登山靴が必要。
2000m級の山以上はこの装備でなければ登れない(守れない)

 

テクニカル装備

岩場や氷のあるエリア、岩稜などを登るための装備。
アイゼンは縦爪のアイスMIX用アイゼンや、ピッケルも短く、ダブルアックス(バイル2本)であったりする。
当然ロープが必要となり、ヘルメットやハーネスも着用する。

 

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スタイルとエリアの紹介(関東ベースです)

初級スタイル

【スノーハイキング・スノーシュー装備】軽アイゼン&ストック。靴とウェアは夏山装備を代用可能
1000mクラスの低山のみで主に森林帯
冬期
奥多摩・丹沢・秩父などの各地低山。上州・浅間周辺の低山。北八ヶ岳全般(スノーシュー含)。西穂高丸山
春山
尾瀬至仏山、北ア燕岳、八ヶ岳硫黄岳など

 

中級スタイル

【本格雪山装備】10-12本歯以上アイゼン、ワカン、ピッケル。雪山用登山靴。ウェアは夏山装備で代用可だが雪山装備おすすめ
比較的危険度の少ない樹林帯が主でエリア・時期で稜線も含む 春期は3000m級の山
冬期
八ヶ岳天狗岳、南ア鳳凰三山、谷川岳、日光白根山、那須岳、西穂高独標、那須朝日岳など
春山
北ア燕岳、唐松岳、焼岳、爺ヶ岳、白馬岳、立山、中ア木曽駒ケ岳、南ア甲斐駒ケ岳、八ヶ岳赤岳、横岳、上信越2000m級の山など

 

上級スタイル

【本格雪山装備】12本以上アイゼン、ワカン、ピッケル(バイル) 完全雪山用装備
縦走などのロングコース 山岳地帯。一部のバリエーションコース ガイドツアーなど
冬期
八ヶ岳赤岳、横岳、阿弥陀岳、北ア西穂高岳、蝶ヶ岳、南ア甲斐駒ケ岳、一部バリエーションコース
春山
富士山、北ア槍ヶ岳、穂高岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、各縦走コース、バリエーションコース

 

 

まとめ

リスクは必ずつきものです。
夏山でも同じなんですが、「前回大丈夫だった」は何の説得にもなりません。
常に危険に対する気をもっておきましょう。
そういう意味では、装備はオーバーなくらいで十分なのです。
初級でもしっかりした装備のほうが無難です。

 

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